OPTICOにより圧縮できた時間を活用し、データと向き合い、 “勝ち筋”を見出す。
株式会社ファイントゥデイ
コンシューマー・インテリジェンス・グループ(CIG) 小山 様 原島 様
公開日:2024年10月29日
株式会社ファイントゥデイ様は、資生堂のパーソナルケア事業を承継して2021年に事業を開始しました。主要ブランドとして『fino(フィーノ)』『TSUBAKI』、『+tmr(プラストゥモロー)』、『SENKA』、『uno』、『SEA BREEZE』、『エージーデオ24』などを展開し、ヘアケアやスキンケア、ボディケア製品で高い評価を受けています。パーパスとして『世界中の誰もが、素晴らしい一日を紡ぎ、いつまでも美しく、豊かな人生を送る』を掲げ、日本、中国、APAC(アジア太平洋地域)を中心とする生活者の多様なニーズを尊重した事業運営を推進されています。
3つの帽子をかぶって、生活者をタテ・ヨコ・ナナメに理解する
――― 本日はよろしくお願いいたします。早速ですが小山様と原島様の所属部署などについてお聞かせいただけますか。
小山様:
私たちコンシューマー・インテリジェンス・グループ(CIG)の役割は、“生活者理解のエキスパートとして、競合・市場環境・生活者インサイトに関する理解について生活者調査やデータ分析を用いて実施し、ブランドマネジメントにおける様々な意思決定に関する支援を積極的に行っていく”ということになります。
各担当者の業務を一言で申し上げると“生活者起点の情報を捉える”ということになります。生活者がどのようなカテゴリ行動をしているのか、ブランド選択しているのか、などについて、『生活者を、タテ・ヨコ・ナナメに理解すること』を実践しています。
もう一つ大きなものとして、私たちのチームはブランド担当制をしいておりますので、ブランド担当側のアクションである、戦略立案から活動計画、および、計画実施後の効果測定までの“ブランドマーケティング活動全体を支援”しています。
原島様:
私はその中で「SENKA」と「SEA BREEZE」のブランドホルダーをサポートしています。アセスメント調査、コンセプト、パッケージ、中味調査の運用管理、リード、分析、そこに関する意思決定のサポートなどを担当しています。
またそれ以外ではクリエイティブ調査のスキームの運用管理や改善も担当していますので、平面広告だけでなくテレビCMやデジタルクリエイティブの評価手法についても担当しています。
――― クリエイティブはブランド横断で見られているのですね。ということは、クリエイティブ以外も横断的に見ているものがあるのでしょうか?
小山様:
おっしゃるとおりです。私のチームでは、「3つの帽子(役割)をもつ」ことを推奨しています。1つめは“ブランドインテリジェンス”でブランドのマーケティングを支援するものになります。2つめは先ほどの意思決定支援に関わるところなのですが、コンセプトのまさに中味・パッケージ・広告における、“フレームづくり”、“ナレッジ蓄積”のようなもの。そして3つめは、ブランドなどから一度離れ、よりフラットに生活者を研究しようよ、という“自由研究”のようなものですね。ちなみに原島は「グローバル美意識研究」なるものを行っておりまして、社内でもかなり好評です。そういった自由演技的なところも含めて『3つの帽子をかぶっている』としています。
調査に求められる4要素:即時性、ストーリー性、実効性、正確性
――― 日常の業務として実施されている生活者調査について教えていただけますか。
原島様:
普段の調査の中で比重が大きいのはアセスメント調査です。コンセプト調査、パッケージ、中味処方、クリエイティブ調査です。その一つ一つに対しての意思決定をサポートする、ということになります。
アセスメント以外ですと、新製品開発に向けてのアイディエーションワークショップの運営やアイデアスクリーニング調査、インサイト探索調査等を実施しています。
――― 生活者調査に求めていること、期待していることは、どのようなものでしょうか。
原島様:
どうしてもシビアに求められるのがスピード感です。新製品やリニューアル商品の開発プロセスを例にしますと、来年・再来年のローンチを見据えているという状況で、調査だけに何週間も費やすということは当然できません。課題に対してピンポイントにフォーカスし、クイックにアウトプットしていくことが理想的なのではないかと思っています。
弊社は日本のほか、中国とAPACに11拠点を置くグローバル企業でもありますので、一つのブランドに対して様々なマーケットの担当者が関わります。そのため、調査のアウトプットに対しては、誰が見ても同じ結論を導けるような明確性が大切だと感じています。全員が納得できる指標やアウトプット、全体のまとめ方や見せ方などのストーリーづくりも求められるのかなと思います。
小山様:
少し違う視点からお話しますと、私は2つの大きなベクトルがあるように思います。
ひとつめは、基本的にすべてのデータやリサーチは意思決定やアクションにつながるものを目指すべきなのですが、実際にはそこまで至らず”参考程度の情報”に終わってしまうことも少なくありません。ですから、どうやってファクトからインプリケーションを出し、アクションまで間断なく到達するか。私たちが不慣れな部分もあるのですが、まだまだ発展途上だと感じています。調査の中身というよりは、調査の活用の面に課題があり、その中にはスピードもあるし、インプリケーションの質もあると思っています。
片や、真逆の話です。やはり今の調査手法では生活者をまだ深く理解しきれていないな、という感覚をもっています。生活者と言いますか、人間を理解する方法というのは、もっと他にも方法があるのではないかと。人の心理、人の行動というものを丁寧に正しく見る手法というのは、まだまだ調査というものには改善の余地があると思うのです。
コストを抑えつつ、自分たち独自の方法での評価を実現できる調査ソリューション
――― 弊社サービスについてお聞かせください。御社は、OPTICO上でキービジュアルやクリエイティブを評価するオリジナルのテンプレートを活用されていますね。OPTICOへの導入前の期待感としてはいかがでしたでしょうか。
原島様:
キービジュアルや静止画広告について、複数あるデザイン案の中から、最も効果が高いものを絞り込みたいという調査ニーズが最も多いように思われます。ただ、マーケティングに投資できる予算は限られていて、その中でもさらに静止画素材の評価にかけられる額はかなり小さいです。そのため、このような調査ニーズがありながらも、生活者調査ができていないのが実態でした。
もちろんこれは明文化されていないことなのですが、弊社は資生堂のDNAも継承している部分があります。その中でも“クリエイティブ”は、とても重要なものの一つとして認識されています。しかし先ほども申し上げたように、投資額の関係上、素材に対して実際に生活者の声を聞くことができず、キービジュアルの決定などではどうしてもブランド担当者や経営陣の経験値に頼ってしまうようなところがありました。これは効果的な場合もありますが、ディスカッションしづらいという側面もありました。そのため、少ない投資額の範囲でしっかりと評価できる仕組みを探していく中で、OPTICOにたどり着いたということになります。
――― OPTICO採用の決め手となったのは、どんなところだったでしょうか。
原島様:
ポイントとなったのはやはり、重複しますが常に予算には限りがあるということです。限られた予算感にマッチしない調査会社やサービスが多いなか、OPTICOは弊社のニーズにしっかりとマッチしていました。
同時に、弊社が考える適切性をもってクリエイティブを評価できるツールも探していました。一般的にクリエイティブ調査には、コンセプト調査や製品テストのような判断しやすいものとは違う、かなり感覚的な要素が含まれます。「面白い、ワクワクする、興味を惹かれる、強く印象に残る」などの抽象的な指標も持ち込まなくてはなりません。導入するサービスには、そうした評価指標の設定部分にもフレキシビリティをもっているかということが重要であり、OPTICOはそれらの条件も満たすものだと判断できた、ということです。単純に“購入意向や新規性についてデータを取って終わり”というものではなく、自分たちが適切だと考える指標でクリエイティブを評価したいと考えていましたので、それが実現できそうだということも大きな要因でした。
OPTICOの実現する迅速性は、データを活かすチカラになる
――― では、OPTICOをご導入いただいての、率直なご意見やご感想などお聞かせください。
原島様:
ブランドチームから一番多く挙がった声は、とにかく「早いですね!」です。直近で行った案件では、どれも調査をスタートしてから2日以内にアウトプットを得ることができているため、提案スケジュールに影響することなくスピーディに意思決定をすることができ、「こんなに便利なツールがあるとは、ありがたい」という声が増えてきました。
また、私が個人的に感じていることとしては、こちらで指標をフレキシブルに設定することができたため、資生堂から継承してきたクリエイティブ評価の際の基本視点のまま調査結果をレビューすることができ、違和感なく社内で新ツールが受け入れられたということです。新しいサービスではありますが、アウトプットとして創出された瞬間に「この結果をどのように判断するべきか」を直感的に理解できるのも、浸透がスムーズな理由の一つなのではないかとも思います。
小山様:
OPTICOは早いですし、データの説得力もありますし、社内の会議にも活用しやすいため、結果としては本当に良いことばかりです。次は、OPTICOによる結果を見て「さらに良くしよう」や「もっとこんな所を改善しなくちゃ」など、データを活用した議論がもっと活発になるといいなと思っています。データの深読みをして、さらに議論も深めていくことで、調査の意味や価値はもっともっと上がる気がするのです。私たちはもちろんですが、社内の皆さんにもぜひとも使い倒してほしいと期待しています。
実際、社内上層部からはそうした要望を受けています。「君たちに与えられたミッションは、単なるデータ結果のシェアではなく、そこから“勝ち筋”を見出すことだ」と。
点と点、データとデータ、数字と数字を組み合わせていく中で関係性を見つけ、「この商品はこんなお客さまにこう刺さる!」の勝ち筋を見いだし、さらにその勝ち筋の確度を高めるためのポイントを加えていけるような、”調査を重ねることで成功確率を高めていくプロセスをつくることが、当面私たちが目指すところです。
原島様:
OPTICOでは、調査を迅速に、ワンストップで完了させることができるという大きな利点があります。これは、全体のスピーディな進行を考えると大きなベネフィットです。しかし一方で、“データを充分に分析する時間がとれない”ということと表裏一体となる可能性ももっています。このジレンマの中で、どれだけ短い期間でデータと向き合うかが重要になってきそうです。
小山様:
同感です。OPTICOは限られた時間の中で最大限に“勝ち筋”を解釈してくれるものでもあるので、その効率感はとても大事だと思います。
――― サービスのご導入後、意思決定のスピードに変化は見られたと思われますか。
原島様:
具体的な数字は分かりませんが、意思決定の場でも経験則にのみ頼ってディスカッションをする必要がなく、調査結果をベースに検討を進めることができるようになったため、そういった意味でスピードに変化があったと言えるでしょう。
将来は海外調査でも。期待するのは、ユーザー同士の知見共有と互いの成長
――― “スピード”という言葉が挙がりましたが、そのほかで社内の皆様のご反応については、いかがでしょう。
小山様:
やっぱり最初の反応で顕著だったのが、調査システムとしてのOPTICOのコスパ・タイパの良さとカスタマイズ性でした。そこに、海外への拡張性が加わると、特に上層部の反応がさらに大きなものになっていくと思われます。「今までは(予算や時間の関係で)諦めていたあの調査を、OPTICOを使ってできないか?」という声がきっと増えていくんじゃないかなと思います。
そして私はOPTICOの利用に、大きな期待をもっています。OPTICOを利用していくということは、社内ノーム値が貯まっていくということです。そしてこのことは、「クリエイティブのアイディアはノーム値を上回るのか」というような、社内でのラーニングも蓄積されていくことに繋がっていくはずです。これを現状にあてはめてみると、ブランド担当チームも私たちも、静止画広告やキービジュアルなどについて感覚的なセンスも論理的な知識も蓄積されていくことになります。そうして迎える2~3年後には、全員がレベルアップしていて、よりよいクリエイティブを創れるようになっていたいと思うのです。
――― では、最後にこれからのOPTICOへの今後の期待やご要望などは、いかがでしょうか。
原島様:
先ほど話題になりましたが、日本で使いはじめたこのOPTICOを、海外の調査でも展開していきたいと思っています。
おそらく日本のフォーマットをそのまま流用することにはならないと思います。ですので、その国や地域の生活者が抱くクリエイティブに対する評価視点はどのようなものかなど、そうしたことから考えなくてはならないと思っています。ただ、はじめにテンプレートを導入したとき、OPTICOの皆さんのサポートもあり、社内で調査ツールを開発していくことの大きな実現可能性は強く感じました。
例えば、OPTICOさんにはユーザービリティの観点から一緒にディスカッションをしていただけたことも驚きでしたし、“思いのまま突っ走れたな”と。そのときと同じようにディスカッションを重ねながら進めていきたいと考えておりますので、どうぞお力添えください。
小山様:
これはワガママで、かなり難しいことだと認識していることなのですが。弊社以外の様々な企業さんも、このOPTICOのプラットフォームに乗ってくると思っています。そこで、他社さんでは「こんな活用もされていますよ」や、「こんな使い方もできるんですよ」というような知見を共有できるといいなと思っています。利用者が自分のデータだけを囲い込むのではなく、チームOPTICOとして、もっと間口を広げていくイメージです。使い方や活用例、成功例のようなものは、むしろ積極的に周知活動していただいてもよろしいのではないでしょうか。